第242章 喜ぶのはまだ早い

貝本直纪はふんと鼻を鳴らし、声のトーンをわずかに落とした。

「苦労ってほどでもないわ。ただ、橘美姫みたいな性悪女には反吐が出ただけ」

「でも、まだ喜ぶのは早いぞ。橘健吾が承諾したとはいえ、橘家には橘宗一郎もいるし、あの厄介な橘美姫もいる。明日スムーズに事が運ぶかは未知数だ。次の一手を考えておくべきだな」

「分かってる」

橘凛の声は相変わらず波一つ立たないほど静かだった。

「臨機応変に対応するわ。もし向こうが約束を反故にするなら、私が直接出向いて片を付けるまでよ。心配しないで、まずはホテルでゆっくり休んで」

二人はY国での状況と今後の予定について少し言葉を交わした後、橘凛は貝本直纪...

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